人魚姫
「なんだよ」
「大冴は……」
琉海の心臓が早くなる。
「大冴は人間以外の生物がこの世に存在するって信じる?」
「人間以外の生物ってなんだよ」
「例えば」
「例えば?」
「た、例えば」
大冴はしゃがむと琉海の顔をのぞき込み、囁くように低く言った。
「人魚とか?」
琉海は息を呑んだ。
大冴はまっすぐに琉海を見つめている。
大冴、大冴なの?
あの時あたしを助けてくれたのは?
見つめ合っている時間が長く感じた。
「おまえは信じんの?人魚の存在」
琉海は首を横に振ろうとして、ゆっくり1度深くうなずいた。
「そっか、俺もだよ」
大冴は微笑んだ。
琉海は大冴に抱きついた。
言いたい。
大冴に全てを言ってしまいたい。
自分は人間ではないのだと。
自分はあの時の人魚なのだと。
海の伝説のことも全て。
自分が伝説の姫なのだということも全て。
そして……そして?
大冴に人魚になってくれと頼むのか?
そのために大冴の親友である未來を殺すことになるかも知れないと話すのか?
大冴がそれで承諾すると思うのか?
するはずがない。
琉海は大冴に回した手を外した。体を離そうとした、とその時琉海の体がぐいっと大冴に引き寄せられる。
「おまえほんとうに体が冷たいな」
大冴に抱きすくめられる。
このままでいい。
もし本当に未來が陸の王子だったら、あたしはぎりぎりまで大冴のそばで生きて、そして海の泡となって消える。
それでいい。
それでいいんだ。
琉海は大冴を見上げた。
「ねぇ、もっとぎゅっとして、もっともっとぎゅっと抱きしめて」
大冴は少し照れたように笑って、それでも琉海を強く抱きしめた。
「大冴は……」
琉海の心臓が早くなる。
「大冴は人間以外の生物がこの世に存在するって信じる?」
「人間以外の生物ってなんだよ」
「例えば」
「例えば?」
「た、例えば」
大冴はしゃがむと琉海の顔をのぞき込み、囁くように低く言った。
「人魚とか?」
琉海は息を呑んだ。
大冴はまっすぐに琉海を見つめている。
大冴、大冴なの?
あの時あたしを助けてくれたのは?
見つめ合っている時間が長く感じた。
「おまえは信じんの?人魚の存在」
琉海は首を横に振ろうとして、ゆっくり1度深くうなずいた。
「そっか、俺もだよ」
大冴は微笑んだ。
琉海は大冴に抱きついた。
言いたい。
大冴に全てを言ってしまいたい。
自分は人間ではないのだと。
自分はあの時の人魚なのだと。
海の伝説のことも全て。
自分が伝説の姫なのだということも全て。
そして……そして?
大冴に人魚になってくれと頼むのか?
そのために大冴の親友である未來を殺すことになるかも知れないと話すのか?
大冴がそれで承諾すると思うのか?
するはずがない。
琉海は大冴に回した手を外した。体を離そうとした、とその時琉海の体がぐいっと大冴に引き寄せられる。
「おまえほんとうに体が冷たいな」
大冴に抱きすくめられる。
このままでいい。
もし本当に未來が陸の王子だったら、あたしはぎりぎりまで大冴のそばで生きて、そして海の泡となって消える。
それでいい。
それでいいんだ。
琉海は大冴を見上げた。
「ねぇ、もっとぎゅっとして、もっともっとぎゅっと抱きしめて」
大冴は少し照れたように笑って、それでも琉海を強く抱きしめた。