人魚姫
むちゃんの店のバイトの子を確認するのは簡単だった。
ついでにその場にいた男性客の首の後ろもそっと見て回った。
琉海をストーカーと勘違いした管理人もどうにかチェックした。
2人の警察官をどうやって確認するかが問題だった。
大冴との約束は大冴の仕事が忙しく、なかなか実現しなかった。
それでも大冴はときどき昼間にふらりとやってきて琉海を見ながら昼ごはんを食べていった。
時間だけが過ぎていった。
本格的な夏が来て、蝉たちがうるさく鳴き始めたかと思ったら、あっという間にその声は弱々しくなり、路上に転がる死骸の数が増えていった。
そして騒がしい夏を涼しげな風がはらうようにして秋がやって来た。
その間琉海は自分が接触した男の首の後ろは必ず確認した。
誰にも星型のアザはなかった。
そしてこの頃になると琉海はまだ確認できていない警察官の2人と海辺のお巡りさんにもアザがないだろう思い始めていた。
首の後ろにアザがあるのは未來だけだ。
琉海はいつものカモメのフンだらけのベンチに座っていた。
こんなことならなぜ最初から未來とだけ一緒にいなかったのだろう。
そうしたらもしかしたらあたしはすんなり未來のことを好きになっていたのかも知れないのに。
大冴を好きにならなかったかも知れないのに。
姉たちには全てを話した。
姉たちに全てを話せたのは琉海の中で誰が陸の王子なのか結論が出ていたからかも知れない。
変えたくても変えられない結論。
姉たちも琉海に賛成だった。
「琉海この際、好きな男は諦めなさい」
「そうよ、陸の王子だって十分いい男なんでしょ、今からだって遅くないから王子と恋をする努力をしなさい」
姉たちは必死になって琉海を説得しようとした。
「琉海、あなたには海の生き物たち全ての将来がかかってるのよ」
ついでにその場にいた男性客の首の後ろもそっと見て回った。
琉海をストーカーと勘違いした管理人もどうにかチェックした。
2人の警察官をどうやって確認するかが問題だった。
大冴との約束は大冴の仕事が忙しく、なかなか実現しなかった。
それでも大冴はときどき昼間にふらりとやってきて琉海を見ながら昼ごはんを食べていった。
時間だけが過ぎていった。
本格的な夏が来て、蝉たちがうるさく鳴き始めたかと思ったら、あっという間にその声は弱々しくなり、路上に転がる死骸の数が増えていった。
そして騒がしい夏を涼しげな風がはらうようにして秋がやって来た。
その間琉海は自分が接触した男の首の後ろは必ず確認した。
誰にも星型のアザはなかった。
そしてこの頃になると琉海はまだ確認できていない警察官の2人と海辺のお巡りさんにもアザがないだろう思い始めていた。
首の後ろにアザがあるのは未來だけだ。
琉海はいつものカモメのフンだらけのベンチに座っていた。
こんなことならなぜ最初から未來とだけ一緒にいなかったのだろう。
そうしたらもしかしたらあたしはすんなり未來のことを好きになっていたのかも知れないのに。
大冴を好きにならなかったかも知れないのに。
姉たちには全てを話した。
姉たちに全てを話せたのは琉海の中で誰が陸の王子なのか結論が出ていたからかも知れない。
変えたくても変えられない結論。
姉たちも琉海に賛成だった。
「琉海この際、好きな男は諦めなさい」
「そうよ、陸の王子だって十分いい男なんでしょ、今からだって遅くないから王子と恋をする努力をしなさい」
姉たちは必死になって琉海を説得しようとした。
「琉海、あなたには海の生き物たち全ての将来がかかってるのよ」