人魚姫
陸の王子。
琉海のために猛スピードで車を飛ばす未來。
もう何時間走っているだろう。
かたときも気をゆるめることなく未來はハンドルを握り続けている。
こんなにも琉海を大切にしてくれる2人を殺したり死なせたりしなければならない自分を呪った。
琉海の死さえもそれらを防ぐことができないのだ。
これ以上残酷なことがあろうか。
「大冴」
万が一このまま自分が死んでしまったら。
「おい、しゃべるな」
「あたしを憎んで……お願い」
大冴も一緒に死んでしまうかも知れない。
「じゃ……ないと、……あたしが未來を……殺すよ」
「嘘をつけ、おまえは未來を殺すつもりなんか全然ないだろ、じゃないとさっきの暴走車から未來を守ったりしない、なんでそんな嘘つくんだ。おまえを憎めだと?なんで俺におまえを憎んで欲しいんだよ、なんでそんなことを言うんだ」
琉海は開きかけた口を閉じた。
そしてまた開こうとして閉じる。
何度もそれを繰り返した。
口が乾いてうまく声が出ない。
「大冴が……死んじゃう」
やっとのことでかすれた声が出た。
「このままでは……大冴まであたしと一緒に……死んじゃう」
「なんで俺が死ぬんだよ」
大冴は顔を琉海に近づけた。
「大冴の……」
中に残るあたしへの想いが爆発して、大冴も一緒に死んでしまう。
その言葉が言えたのか言えなかったのか、琉海自身分からなかった。
揺らいでいた意識は襲ってきた波に呑み込まれ、あっという間に深い水の中に引きずりこまれていった。
次に意識が戻ったとき、琉海はベッドの上にいた。
病室の窓から見える外は暗くて、夜なのが分かった。
自分は死なずに大阪までたどり着いたのだ。
未來が頑張ってくれたのだ。
どこからか町医者の声がしてくる。
「あんたらの血じゃだめだ」
そう聞こえた。
そのあとに大冴の未來の声が聞こえたがなにを言ってるのかまでは分からなかった。
琉海の意識がまた沈んでいく。
琉海のために猛スピードで車を飛ばす未來。
もう何時間走っているだろう。
かたときも気をゆるめることなく未來はハンドルを握り続けている。
こんなにも琉海を大切にしてくれる2人を殺したり死なせたりしなければならない自分を呪った。
琉海の死さえもそれらを防ぐことができないのだ。
これ以上残酷なことがあろうか。
「大冴」
万が一このまま自分が死んでしまったら。
「おい、しゃべるな」
「あたしを憎んで……お願い」
大冴も一緒に死んでしまうかも知れない。
「じゃ……ないと、……あたしが未來を……殺すよ」
「嘘をつけ、おまえは未來を殺すつもりなんか全然ないだろ、じゃないとさっきの暴走車から未來を守ったりしない、なんでそんな嘘つくんだ。おまえを憎めだと?なんで俺におまえを憎んで欲しいんだよ、なんでそんなことを言うんだ」
琉海は開きかけた口を閉じた。
そしてまた開こうとして閉じる。
何度もそれを繰り返した。
口が乾いてうまく声が出ない。
「大冴が……死んじゃう」
やっとのことでかすれた声が出た。
「このままでは……大冴まであたしと一緒に……死んじゃう」
「なんで俺が死ぬんだよ」
大冴は顔を琉海に近づけた。
「大冴の……」
中に残るあたしへの想いが爆発して、大冴も一緒に死んでしまう。
その言葉が言えたのか言えなかったのか、琉海自身分からなかった。
揺らいでいた意識は襲ってきた波に呑み込まれ、あっという間に深い水の中に引きずりこまれていった。
次に意識が戻ったとき、琉海はベッドの上にいた。
病室の窓から見える外は暗くて、夜なのが分かった。
自分は死なずに大阪までたどり着いたのだ。
未來が頑張ってくれたのだ。
どこからか町医者の声がしてくる。
「あんたらの血じゃだめだ」
そう聞こえた。
そのあとに大冴の未來の声が聞こえたがなにを言ってるのかまでは分からなかった。
琉海の意識がまた沈んでいく。