嘘つきな唇
ビール一杯のつもりが



すでに三杯目







智也くんの話はこうだ







あの初めて会った時



彼女が浮気してて

それどころか、彼女には婚約者がいて





騙されてたのは自分なのに
彼女の旦那になる人にかなりキレられ





今まで生きてきた中で
一番辛かったと。







「二度と女なんか信用しねえって思ったわ。今思い出しても腹立つ。」

「そうだね。」

「騙されてたの俺だぞ?なのになんであんなボコられなきゃいけねえわけ?」

「うんうん。」

「その時のあいつの涼しい顔。ほんっとムカつく。あー、まじでイライラする!」







絶望からイライラに変わったんだもん


よかったんじゃないかと思うけどね。







「それからだよ。特定の彼女つくらなくなったの。疲れるだけだし。」

「遊び放題ですか。」

「おー。」

「…最低。」

「それでもいいって奴だけだから。」

「いや、最低でしょ。」

「…まあ、だよな。そういうのもそろそろやめたいなっては思ってた。」

「その方がいいよ。」

「てことで。陽菜ちゃん、どう?」

「は?どう?ってなんですか。」

「付き合わない?」

「そんな軽い人嫌ですよ!」

「えー?笑」







本気なのか本気じゃないのか




本気だとしても
私はどうとも思ってないけど








「俺、意外と一途だし、好きな人の事は大切にするよ?」

「…好きじゃないくせに。」









何言ってるんだ、この人は








なんて思いつつ


急な告白にドキドキしてしまい

残ったビールを一気に飲み干す
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