嘘つきな唇
焼いたお肉や野菜を食べながら
他愛もない世間話を






美希はすごく社交的だから
智也くんにもいろいろ聞いたりして



私も楽しいフリをしてみる







内気な私には
話に合わせて作り笑いをするのが精一杯








お腹もいっぱいになって
ちょっとお手洗い、と言い残し


近くを一人で散策







小さな川が流れてて
そこに足を入れる








「あー…きもちい。」




すごく綺麗で冷たい







「陽菜ちゃん。」






呼ばれて振り返ると
飲み物を持った智也くんの姿







「疲れたでしょ。気使って。」

「そんな事ないですけど…」

「そう?」





飲む?と手渡されたお茶







「トイレの割には長いなーなんて。」

「すみませんね…」

「俺もゆっくりしたかったし、別に。」







隣に座って、両手を伸ばし
思いっきり体を伸ばす智也くん






しばらくの沈黙のあと
急に智也くんから痛い質問







「さっき話してた遥斗って、前の彼氏?」

「…はい。」

「俺もさー、彼女と別れたばっかりなんだよね。二股かけられてて。ウケるよね。」

「…私もです。全然おもしろくないんですけど。」

「へえ。じゃあ同じだ。」






にっこり笑う智也くん



エクボが可愛いと思ってしまった











「翔に可愛い子紹介するから!って連れて来られたけどさあ。」






はあー、と深いため息










「陽菜ちゃん、たしかに可愛いんだけどね。俺高校生と付き合う気ないから。子供だもん。」

「…私だって怖い人と付き合う気ないです。」

「怖いって、俺?」





黙って頷く






しばらくの沈黙のあと




はは、と声を出して笑う







「怖いかー。俺怖くないよ、朝は機嫌悪かっただけ。ごめんね?陽菜ちゃんおもしろいね。笑」

「私はおもしろくないですけど。」

「初めてそんな事言われたよ。」






二人も心配してるし
とりあえず戻ろう?





何故か手を引かれて、二人のもとへ










これが、彼と私の出会い





お互い付き合う気はなかったし


好感を持てたわけでもなかった
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