エンジェルベイベー
コーヒー
チリンというドアのベルの音と共にダッシュで部屋の中に入る。
走るのは苦手なんだよな。走るのは。
白いアンティークの扉を越えるとすぐに
目の前にキラキラの乙女チックな世界が広がる。
「いらっしゃいませ」
私の物音に気付いた爽やかな若い男の人が振り返る。
青いシャツに個性的な蝶ネクタイ。
「りりかちゃん」
驚いた顔と同時に安堵の表情で私を見つめ返す人。
「店長。」「あの遅くなってすみません」
振り乱したロングヘアの髪の毛から汗が滴っていた。
目の前ではここの店主、高身長で、白い肌と笑顔が魅
力的な男性がこっちを見ながら笑っていた。