エンジェルベイベー
「いいよ。来ると思ってたから。いつもお疲れ様」
店長は香水の小瓶を並べ替えながら、几帳面にほこりをぬぐった。
かんかんと瓶が触れ合う音がした。
良かった、幸いお客さんは誰もいない。
私は大急ぎで可愛い水色のカーテンを押しのけて、奥の部屋に入った。
ええと。制服のエプロン。と、帽子。
裾にレースの付いているエプロンと、絵描きさんみたいなベレー帽は私のお気に入り。
帽子をかぶると少し背も高く見えるしね。
カーテンの向こうから店長の声が響く。
「りりかちゃん、そこにあるオレンジジュースを飲んで一息してからおいで。」
はぁー。店長優しすぎるよ。
私は可愛いうさぎさんのコップでオレンジジュースを飲みほしてから、鏡を見て髪を整えた。
せっかく友達に整えてもらった髪は寝起きの時みたいにボサボサに戻っていた。
私、天野りりかはここでアルバイトをしています。