花と雫

そんな二人の言い合いを聞きながら、冬華はもう一度インターファンを押す。
数秒の間の後、

「どうぞ」という声が聞こえ、鍵が開く音が聞こえた。
ユリと麗奈と共に、おじゃましまーすと言いながらドアを開ける。

「楓ー生きてる?」

遠慮なしに靴を脱ぎ、ずかずかと二階の楓の部屋に上がり扉を開けるとベッドに腰かける楓が目に入る。

「いやいや、寝てなさいよ」

麗奈のツッコまれる楓を見れば、顔はすごく赤く、ひどく熱が出ているように思う。

「ちゃんと、熱測った?」

楓にそう聞けば、ぎこちなく頷く。

「38度ちょっと、だから大丈夫」

「…私たまに楓の感覚疑うよ?」

そう言いながら、買ってきた冷えピタを取り出し楓に渡す。
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