花と雫

***

「はぁ、」

1人になった部屋で理事長はため息をついた。
胸ポケットから煙草を取り出し、火をつける。

なんと言われようがやはりやめられないものである。
校内での喫煙など御法度ではあるが、たとえばれたとしても何事もなく終わるだろう。

まったく、困ったやつだ。
彼女が出ていったドアを見つめながら煙を吐き出した。

理事長はデスクにしまってある写真立てを取り出し、眺めた。

自己満だろうが何であろうがそんなことはどうでもいい。
彼女がどう思い、嫌おうとも。

「お前と駆け引きするのは嫌いなんだよ」

理事長はぼそりと呟き、吸っていた煙草を灰皿に押し付けた。
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