花と雫
入学式の前日。
生徒全員に招集がかけられる日である。
入学式の準備はもちろんだが、それよりもビッグイベントであるのは生徒会メンバー発表である。
冬華は春休み前に配られたプリントを机から引っ張り出しぼんやりと眺めた。
“生徒会選出について”とでかでかと書かれた内容を冬華は鼻で笑ってやる。
何が、生徒会選出だ。
立候補でもなければ、推薦式でもなく理事長の独断と偏見で決まる生徒会なんぞ生徒会ではない。
名前を変えて理事長の下僕会にすればいいと冬華は笑う。
クラスを見回せばドキドキで楽しみ!と言わんばかりにわくわくしているクラスメイトが目に入る。
彼らがそのような様子なのも理解はできる。
表面上、この学園の生徒会は入ることが出来たならそれは、それは優遇されることになっている。
授業料の免除と寮の無償提供。
生徒会活動による公欠の授業の単位補助。
こんなに素晴らしい特典は他にないだろう。
だが。
何故一介の学園の生徒会がそのように優遇されるのか。
まさに、“うまい話には裏がある”だ。
それこそ生徒会には守秘義務が課せられているらしく活動内容は公表されていない為、知ることなどできないのだが、冬華は確信していた。