花と雫

***

「冬華ちゃんおかえりー」

ダンスが終わり、ジュースを飲んでいるとチカがひらひらと手を振りながらやって来た。

「チカもお疲れー。めっちゃダンス申し込まれてたね」

さすが生徒会、いやイケメン集団というべきか。
あの目つきの悪い潤さえも女の子に囲まれていた。
そもそも元がいい、というのも大いにあるが。

「冬華ちゃんだって、奏と踊らされてたやん」
「見てたの?本当、出しに使われただけなんだけどね」

そう言いながら、手元のグラスをぐいっと掲げ、冬華はジュースを飲み干した。
口の中にオレンジの爽やかな甘さが残る。
< 47 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop