花と雫

「でも、めっちゃうまかったやん。俺とも踊ってほしいくらい」

優しく、ゆるりと笑うチカに思わず言葉を詰まらせる。
まったく、その言動一つ一つになぜか色気が含まれる。

今までその視線に数々の女の子が落ちてきたんだろうな、なんて思いつつ冬華は笑った。

「私じゃもったいないくらいだよ。もうちょっと色気あるお姉さんを捕まえておいでよ」

「あーあ、フラれてもーた。俺は冬華ちゃん“が”ええんやけど」

そう言いながらチカもグラスを手に取り、優雅に口づける。
中身は同じジュースであるはずなのに持つ人が変わるだけでたちまち中身はカクテルに変化してしまう。

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