花と雫
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「単細胞に拍車がかかりそうだな」
「うるせぇよ」
バルコニーからは、今日の空は一段と澄んで、星が輝いてみえる。
もうじき満月を迎えそうな上弦の月も見つめながら、煙を吐いた。
「生徒会メンバーがこんなにあっさり帰ってきていいのかよ」
「その言葉、そのままそっくり返す。ダンス、申し込まれてたくせにそれを振り切って一人一服とはいい立場なことで」
きっと皮肉った笑みを浮かべているのだろうと、後ろにいる奴の表情を想像した。
振り返らずとももう、なんとなくわかる。
「そんな良い身分じゃねぇよ。お前だってあいつおいてきてよかったのかよ」
「あいつ?」
「あのブスに決まってるだろ」
そう言いながら、頭の中にあのブスの顔が浮かんでくる。
頭の中でも能天気とはうっとうしいことである。