花と雫

***

というわけなのだが、盗撮と言われてもそうなじみのあるものでもない。
加えて、このことを誰かに話せるわけもないのでなかなか調査は進んでいなかった。

「冬華、何か考え事?」

授業が終わり、食堂でご飯を食べているとユリが少し心配そうに顔を覗き込んできた。

「うん、まあね」
「そっか、でもそれ生徒会のことでしょ。だからたぶん相談できないと思うけどさ何かあったら言ってね」

何もかも察しているかのような発言に冬華は少しだけ目を見開き、そして微笑んだ。
「ユリには隠し事できないなぁ。でもまだ大丈夫かな。何かあったら相談するね」

そう言い笑えば、ユリも笑顔で頷いた。

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