花と雫

「チカ、もう一回見させて。今度はゆっくりめに」


「ええけど、どないしたん?」

少し不思議そうな表情をしながらチカは再生してくれる。

そして、お目当ての映像が流れたその瞬間、冬華の口角がゆっくりとあがった。

___あぁ、やっぱり

「どうしたん、笑っとるけど」

怪訝そうな表情をするチカに「なんでもない」と言い、冬華は立ち上がった。

「どっかいくん?」
「うーん、ちょっと散歩に行ってくる」

冬華は曖昧にそんなことを言いながら生徒会室を出た。

「偶然なんてのはやっぱりないんだなー」
ぼそりとそう呟きながら歩き始めた。
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