花と雫
冬華が叫んだのを筆頭にクラスのお騒ぎモードが入った。
「みんなひどくない!?バカだのなんだの好き勝手言って!」
「いやいや、馬鹿だからだろ?」
「そうだよな」
口々にいじられるがいつもの事。
いや、いつのものことにしてはいけないのだが、今はそんなことどうでもいい。
だが、生徒会に選ばれた驚きと同時に選ばれてなお変わらぬクラスの対応にも驚いていた。
こういう時、乙女ゲームでは「なによ!あんな子が」となる。
高確率で次の日机の上は画びょうと落書き。
そんな風に少し疑念を抱きながらクラスメイトを見つめていれば、
「あはは、トーカが思っていることの答え教えてあげよっか?」
冬華の顔を見た麗奈がみんなの声を代弁すべく口を開いた。
「みんなね、冬華だから受けて入れてんのよ」
キュン!
不覚にも乙女げー以外でときめいてしまった。
「麗奈ぁ、ありが」
「だってね、冬華?心配しなくても冬華はどう転んでも美女じゃないからね」
「おいこら、麗奈。私の傷をえぐるなよ!そして、感動を返せ!!」
前言撤回である。
感動もくそもない。
「まーまー冬華さんよ、俺は同性の友達としてお前のことが好きだぜ。なぁ、お前ら!」