花と雫
「わかってない。こうやって押し倒されたら抵抗できない。あの時だって俺らが入ってくるのが遅かったら」
「でも、来てくれたでしょ?」
「っ!そういうことじゃ」
「わかってるよ、でも」
悠真に押さえつけられた左手を抜き、その手で悠真の頬に触れる。
驚いたように髪を揺らす悠真に笑いかける。
「…心配してくれてありがとう」
冬華は言いかけた言葉を呑み込み、言葉を変えた。
そのまま、驚きで力が抜けた悠真に思いっきり力を籠め、起き上がる。
そして、ソファから立ち上がった。
「…また明日ね。おやすみ」
それだけ言うとほんの少し、逃げるように生徒会室をでた。