ちゃんと伝えられたら
坂口さんは我に返ったかのように、運転を始めた。

「もうプロジェクトも志保なしではやっていけない。食事だって昼だけでなく、すべて面倒見てもらいたいくらいだ。」

少し投げやりな言い方だけど、その言葉には熱がこもっている。

「あの…、坂口さん?ちゃんとしようって…?」

私の口から思わず言葉がこぼれた。

「公私ともによろしく頼むという事だ。プライベートもちゃんと二人の時間を作ろう。」

私は運転している坂口さんの横顔から視線が外せない。

「私はてっきり…。」

「ん?」

坂口さんが首をかしげた。

「何が言いたいんだ?」

「てっきり別れようと言われると思って…、だからこのプロジェクトも外されるんだと覚悟して…。」

「志保が考えている事が分からない。」

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