ちゃんと伝えられたら
私はチェックした会議録を差し出す。

「これに目を通している間に、帰る支度をしろ。」

「はい。」

私は素直にその言葉に従う。

時間は8時を過ぎたところ。

いつもより少し早い時間。

「よし、今回は直すところはない。またメールで寺本さんに送っておいてくれ。」

坂口さんの出したその名前に、二人の間に緊張が走った。

「あそこまで言っても、寺本さんは志保の事を諦めてくれないようだったな。」

坂口さんが苦笑いをする。

「やっぱりこのプロジェクトが終わるまでは、はっきりさせない方が良いですよね。」

私は弱り顔で答える。

「まあ、寺本さんは私的な事で仕事に影響を出す人だとは思えないけどな。それよりも…。」

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