ちゃんと伝えられたら
私の顔にみるみる赤みが差してくる。

「志保に触れていたい。ダメか?」

坂口さんのつないでいる手に力が入った。

「私もです。やっと恋人らしいことが出来るんですかね?」

私は坂口さんに微笑む。

胸のつかえが降りたような、スッキリした顔をしている事を自分でも感じる。

「やっぱり道人の店に行くのか?」

坂口さんはそっと私に聞く。

私はゆっくりとうなずいたが…。

「そうか。それなら仕方ない。」

「どうしてですか?また道人さんのラーメンが食べたいと思っていたんです。」

私の言葉に、少しつまらなそうな表情を見せる坂口さん。

「志保を家に連れ帰って、手料理でも作ってもらえると嬉しいんだが…。でも今日は志保も疲れているだろうから、仕方ない、食べて行くか。」

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