ちゃんと伝えられたら
昨日会社を休んでいた分が、溜まってしまったのだろう。

「篠田。」

何だか怖い顔をして、私に近づいてくる坂口さん。

「お前、何で今日は出勤したんだ?」

「えっ?」

私は坂口さんの思いがけない言葉にショックを受けた。

私が今日出勤してきたことが何かいけなかったのだろうか。

私の仕事を他の人が代わりにしてもらった方が、効率が良いという事なのだろうか。

ほんの一瞬で私の頭の中は、そんな事が駆け巡る。

「ちゃんと熱は下がったのか?」

昨日のように、坂口さんは自分の額を私の額に合わせた。

「もう身体は大丈夫なのか?」

矢継ぎ早に坂口さんは質問を繰り出す。

私には答える暇がない。

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