ちゃんと伝えられたら
「私…。」

そしてその手を坂口さんの首に回す。

「私をずっと見ていてくれて、そして仕事面でこんなに成長させてくれた坂口さんに感謝しています。」

坂口さんの身体がびくっとした。

「志保…、それって…。」

坂口さんの顔が離れると、私の手は自然にほどけた。

坂口さんは私の顔を真正面から見つめる。

「でもドライブが中止になった時に分かったんです。」

私はそっと自分の唇で、坂口さんの唇に触れる。

「たった一つの約束が果たされないだけで、涙が出て来てしまうなんて…。」

「志保。」

坂口さんの腕に力が入って、ぐっと抱きしめられる。

「大好きです、坂口さん…。」

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