ちゃんと伝えられたら
「そう言えば、こないだのノートは見返してくれましたか？」

「えっ？」

私は意外な事を言われて、首をかしげる。

「まだでしたか。それより、最近の坂口さんの様子はどうですか？」

私はますます寺本さんのいう事に首をかしげるしかない。

「いや、うちの社員から坂口さんの噂を聞きましてね…。篠田さんは三島という女性に心当たりはありませんか？」

「あっ…。」

そう言えば一度会社にかかって来た電話に出た事がある。

－坂口さんはお見えですか？－

おっとりした声だった。

あれは資料室でもめた後、坂口さんが出て行った時だった…。

「何か心当たりがあるんですね？うちの社員がどうもよくその女性が坂口さんと居る所を見かけるようで…。」

私は大きく息を吐く。

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