ちゃんと伝えられたら
あまりに直線的に言葉を発する寺本さんに私は唖然とする。

「坂口さんと三島という女性の事も、あなたの事を思って耳に入れたつもりでしたが軽率でしたね。すいません。」

寺本さんは深々と私に向かって頭を下げる。

「こういう事に部外者が首を突っ込んではいけなかったんだ。本当にすいません。」

私はこんな真っ直ぐな寺本さんを前にどんな態度を取ったらいいのか分からなくなって来た。

「志保。」

私はその声の主の方を振り返る。

「坂口さん、どうしたんですか?」

今日は驚く事ばかりだ。

「お前の家に行こうとしたんだが、何だか胸騒ぎがして会社に戻って来た。」

坂口さんはじろりと寺本さんを見る。

「もう勘弁してください。」

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