ちゃんと伝えられたら
「あっ、はい。でも…。」

私は慌てて立ち上がって、綾人さんを追う。

「坂口さん、あの資料なら私のデスクに…。」

次の書類に必要な資料は私のデスクに持って来てある。

私のそんな声を無視して綾人さんは歩みを止めない。

私は仕方なくその後をついて行った。

資料室で腕を組んで私を待っている綾人さん。

「あの資料なら…。」

綾人さんの耳に届いていないと思って、また同じ言葉を繰り返そうとした時。

綾人さんに私は思いきり引き寄せられる。

「はぁ…、さっきまで肌を合わせていたのにな。」

綾人さんのセリフは強烈だ。

私は真っ赤になる。

「綾人さん?」

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