ちゃんと伝えられたら
「あなたから説得して頂かなければ、きっと彼はそれだけの決断を下さないでしょう。あなたが坂口さんと別れてくれれば、きっとこの会社に居づらくなって転職も考えてくれるでしょう。」

何て都合の良い事をこの人は言っているんだろう。

「お嬢さん。」

そこに息を切らせて現れたのは…。

「寺本さん?」

私は私の目の前に立った男性を見上げる。

「すいません、俺があなたの存在を三島常務のお嬢さんに話してしまいました。」

済まなそうに、寺本さんは頭を下げる。

「俺もうかつでした。まさか坂口さんと会っていたのが、うちの会社の三島常務のお嬢さんだと思わなくて…。」

寺本さんは私を見た。

「でも…、坂口さんにはとても魅力的な話だと思いますよ。」

寺本さんは三島さんと視線を合わせた。

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