ちゃんと伝えられたら
「もう少し先にはなると思うのですが、私はこの篠田と結婚をする予定です。なるべく仕事上でご迷惑はお掛けしないつもりですが、何かがあった時は配慮をお願いしたいと思います。」

「そういう事か。それはおめでたい事だ。」

課長は私を見た。

「おめでとう、篠田さん。結婚をすると大変になるとは思うけど、仕事も頑張ってくれよ。」

そして課長は綾人さんに握手を求めた。

「じゃあ、坂口くんも篠田さんも早く帰りなさい。後は私が少し残るから。」

私達は課長に追い出されるように、会社を出た。

「綾人さん、あれは言い過ぎです。」

繋がれた手を少し引っ張って、私は綾人さんを見上げる。

「まだ決まっているのは、一緒に住む事だけですよ？」

「は？何を言っているんだ。一緒に住むのは結婚へのただの通過点だろう。」

私の中では一緒に住むだけでも大ごとなのに…。

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