ちゃんと伝えられたら
かれこれ8年程ここで過ごしただろうか。

会社に入ったばかりの頃は、どうにもならない気持ちでよく泣いたよね。

会社を辞めないで良かったな。

おかげで…。

「おい、行くぞ。」

この人と今一緒に居る。

「綾人さん。」

「ん?」

「ありがとうございます。」

「未来の奥さんの引っ越しを一緒にするのは当たり前だ。それより…。」

綾人さんは少し口ごもる。

「何ですか?」

「昨晩のプロポーズの返事が先じゃないか?」

「返事も何も…、これもこう決定事項じゃないんですか?」

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