ちゃんと伝えられたら
綾人さんは私を抱きしめた。

「分かった。」

綾人さんはたった一言そう言っただけだったけれど、私達の思いがちゃんと通じている事をひしひしと感じた。

「綾人さん。」

綾人さんの…、いや、二人の家で片づけが始まる。

「私の荷物は私が何とかします。綾人さんは自分のものをよろしくお願いします。」

綾人さんはもろに嫌そうな顔をする。

「もう俺は良いよ。今度にしよう。」

「綾人さん!」

怪訝そうに綾人さんはチラリとこっちを見る。

「俺は早々に尻に敷かれるのか?」

「今やってしまわないと、ダメなんです。それは仕事と同じです。」

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