ちゃんと伝えられたら
「でも…。」

「たった一枚の書類であの騒ぎだぞ。もっと困らせてやってもいいんじゃないかと、俺は密かに思っているくらいだ。」

綾人さんの意地悪そうな顔もなかなかだ。

その後、私達はお互いのペースで片づけを始めた。

その気になれば、作業が早い綾人さん。

私はゆっくり納得をしながら出ないと、前に進めない。

やっと終わりが見えかけて来た頃…。

「志保は根気があるな。」

さっきから姿が見えなかった綾人さんが戻って来た。

そしてスマホをかざす。

「早速会社にメールが来たようだ。月曜日に今回の書類に関しての会議が入った。当然志保にも出席依頼が来た。もうこれで大丈夫だ。」

私はその場にへたへたと座り込んだ。

「良かった…。」

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