ちゃんと伝えられたら
そんな私の姿を見て、笑う綾人さん。

「さっ、そろそろ夕飯の支度にかかろう。俺が手伝えることはあるか?」

「お疲れの様ですから、食事は私が準備します。」

私はニッコリと笑った。

「う~ん…。」

私の家の狭いキッチンと違って、随分余裕があるここのキッチン。

食事を作りながら私はウロウロする。

これはもっと動線を考えないと、食事の準備のたびに疲れてしまいそうだ。

綾人さんと一緒に暮らせるのは嬉しいけれど、やっぱりここの生活に慣れるのには時間が必要だ。

今日は和食を用意するとテーブルに並んだ様子を見て、少し不服そうな顔を見せる綾人さん。

「今日は引っ越しをしたから、がっつり食べたかったな。」

そんな事をつぶやく。

「大丈夫ですよ。煮物や海藻が多いからお腹いっぱいにはなるはずです。」

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