ちゃんと伝えられたら

思わずぼそりとつぶやいた私に坂口さんが声を掛けてきた。

「篠田。」

「はっ、はい。」

私は意識を仕事に戻す。

「篠田は確か会議は欠席だったよな。」

坂口さんは冗談でも言っているのだろうか。

その真意が分からずに、私も言葉が出ない。

すると坂口さんはにこりと笑った。

「いい出来だ。かなりあの資料を読み込んだな。」

私はそんな坂口さんにドキドキしてしまう。

「まあ、少し手直しをさせてもらった。会議に出ていれば完ぺきだったかもしれないな。」

そして坂口さんは立ち上がって私のデスクに近づき、プリントアウトした会議録を私に手渡す。

そして私の頭を撫でた。