ちゃんと伝えられたら
何故か次から次へと涙が出てくる。

段々自分でも何で泣いているのか分からなくなって来た。

坂口さんは何も言わない。

ただ優しく私を抱き寄せているだけだ。

「…すいません…。」

やっと嗚咽の止まった私はそっと顔を上げる。

「大丈夫か?」

静かに聞く坂口さんに私はゆっくりとうなずいた。

「すいませんでした。」

私がそう言うと、坂口さんはスッと私から離れて言った。

「雨も止んできたようだ。社用車を探せ。」

一時的な通り雨はあっという間に行き過ぎたようだ。

「ありがとうございました。」

私は車から降りた。








< 6 / 258 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop