ちゃんと伝えられたら

「本当はもっと早くそういう機会を持つべきだったんだ。なのに、仕事がどんどん入ってきてしまって、仕事の指示ばかりになってしまった。」

坂口さんは申し訳なさそうに笑う。

「貴重な休みだが、そういう事で予定を空けてもらっても構わないだろうか。」

坂口さんの私にとても気を遣った言い方が妙に気になってしまった。

「そういう事なら喜んでお供します。」

私はホッとして、坂口さんに微笑んだ。

「じゃあ、詳しい事は追って連絡する。」

最期は何故か仕事口調の言い方になった坂口さん。

その様子を不思議に思いながら、私はもっと仕事を頑張ろうと思った前向きな自分に少し驚いていた。