ちゃんと伝えられたら
そんな姿は私に気を遣ってくれているのだろう。

私は少し肩の力を抜いた。

「でも…、俺の予想はいい意味で裏切られました。少し自信のなさ気なあなたの様子に驚いたんです。でも会議が始まったら顔つきが変わった。」

私は寺本さんの話に、自分がそんな風に見られていたのかとハッとする。

「もうその帰りに坂口さんには篠田さんの事をお願いしていたんですけどね。」

「えっ?」

そんなに早く?私の中に驚きが広がる。

じゃあ、坂口さんはずっと黙っていた…?

「そういう事で、こないだからは直接篠田さんにアプローチをし始めたわけです。」

真っ直ぐで、正直な人だと思う。

面と向かっていると寺本さんの良い所ばかり見えてしまう。

「あれ?篠田さん?」

私はその声に頭を上げる。

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