ちゃんと伝えられたら
道人さんは私の手を引っ張る。

何とその時間の早かった事。

外へ出ると、道人さんは私に不安気な顔を見せた。

「あれで良かった?」

「えっ?」

「どう見ても、連れ出してほしいって顔をしていたよね。」

道人さんは恥ずかしそうに頭を掻いた。

「ありがとうございます。」

私がそう言った瞬間だった。

「篠田、ここにいたのか。」

はあはあ息を切らせて走って来たのは坂口さん。

「あまりに戻って来るのが遅いから、受付で聞いたら外へ出たって…。ん?何で道人が居るんだ?」

そして坂口さんは私達の繫がれた手に視線を落とす。

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