ちゃんと伝えられたら
それに坂口さんも気が付いたようで、一瞬後ずさる。

「すまない。つい…。」

坂口さんは自分の勢いのままの行動に気が付いたようだ。

私、篠田志保(しのだしほ)25歳、 事務職。

そして目の前にいるのが、坂口綾人(さかぐちあやと)30歳、営業職。

昨日あんな事があった後で、何だかとっても恥ずかしい。

なぜ昨日あれだけ泣けたのか、自分に説明を求めたいくらいだ。

「…昨日はすいませんでした。」

私は頭を下げる。

すると坂口さんは私に苦笑いを見せる。

「篠田は昨日から…、いや俺にはいつも謝ってばかりだな。」

少し照れくさそうな坂口さんの表情が新鮮に見える。

「篠田はそんなに俺の事が怖いのか?」

真顔になった坂口さんは私にこう聞いた。

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