ちゃんと伝えられたら
途端に不機嫌そうな表情になる坂口さん。

「何だ、その手は…。」

道人さんと私は慌てて手を離す。

「違うんです、坂口さん。」

私は焦って声を上げた。

「俺が兄貴の大事な人に手を出すわけがないだろう。それよりも仕事の関係かもしれないけど、あんな奴と篠田さんを二人にするなよ。」

「済まない。まさか社内から出るとは思わなかったから…。」

私は二人のやり取りをぼんやりと聞いていたが…。

兄貴の大事な人…?

「あの…、道人さんは私達の事…。」

私は坂口さんと道人さんを交互に見る。

「あの雨の日、いつも冷静な兄貴が信じられないくらい興奮して報告してきたんだ。」

「おい、道人…。」

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