教育係の私が後輩から…

誰かが話してた。

『よく "普通" "普通" って言いますよね?
でも、普通って誰から見た普通ですか?
100人いれば統計とって平均は出るでしょうけど、でも個人ならそれは主観で、ふたりなら共通認識です。
この地球には70億もの人がいて、国が違ったら育った環境も習慣も違うでしょ?
信じる宗教が違ったら考え方だって違う。
あなたの普通と、私の普通が違ってるとは思いませんか?
実体のない普通ばかり気にして、嫌われるのを怖がっていると、自分が嫌いになりますよ?』

テレビから聞こえてきた、何処かのオバサンの話しに、当時高校生だった私は足を止めた。

高校2年の冬。
私の父は突然家を出ていった。
後に聞いた話だと、随分前から両親の間では、離婚の話が進んでいたらしい。
なにも聞かされず、突然突き付けられた両親の離婚。

母は私を連れ実家へ戻り、そして私は高校も転校した。学年の途中、ましてや大学受験をひかえた大事な時期に、真の友達もいない中、私はハブられない様に周りに合わせていた。自分の思うことも言えず、ただ周りに合せていれば良いと思ってた。でも、そんな自分が嫌いだった。

学校へ行く満員電車の中で化粧するの?
『そんなの普通じゃん!』

彼氏がいても他の男の子と遊ぶの?
『普通だよ!』

夢は? 行きたい大学は?
『普通で良いでしょ?』

分かんない… 
普通ってなに?

毎日の様に自分に問いかけていた。

このままで良いの?
私の普通ってなに?

そんな時、テレビから聞こえてきたどこかのオバサンの言葉で、私の中の何かが吹っ切れた。

私の普通と他の人の普通が違っていても不思議じゃない。そんなこと気にして一生生きていくなんて、そんなの私じゃない。

それからの私は、他人が言う "普通" なんて言葉を気にしないで生きて来た。




< 1 / 135 >

この作品をシェア

pagetop