教育係の私が後輩から…

「…お願い。憎しみは、憎しみをしか生まない。親を殴れば、誠一郎の心も痛いよ？」

義理であろうと、親は親なんだから…
今まで築いた親子の絆はあるはず…

私の言葉に、やっと誠一郎は拳を下ろしてくれた。

「宣美… お前はホント、お人好しだな？
まぁそんなところに、俺は惚れたんだけどな？」

「誠一郎！ 私はあなた達の結婚を許しませんよ！？ こんな女と結婚したら、世間があなたの事、何と言うか！？」

「母さんが許さなくても、俺は宣美と結婚する！ 世間がなんと言おうと、俺には関係ない！」

「何言ってるの！？ 会社を背負う人が、言うセリフではありませんよ！！」

「世間がなにを言おうと、俺の気持ちは変わらない！ 世間の一般論なんて、糞くらえだ！ だよな？ ばぁさん？」

誠一郎の言葉に母親は言葉を失い。キクさんは嬉しそうに頷く。

そしてキクさんは、「心配しなくても、世間様は良く見ていますよ？」と、言う。