教育係の私が後輩から…
考え方なんて人それぞれ、『この地球には70億もの人がいて、国が違ったら育った環境も習慣も違う?
信じる宗教が違ったら考え方だって違う。
あなたの普通と、私の普通が違ってても、おかしくない。
実体のない普通ばかり気にして、嫌われるのを怖がっていると、自分が嫌いになるよ?』これ宣美のおはこじゃん?
「恭子…」
「皆んなが驚くほど綺麗にしてあげるから、彼の隣で堂々としてな!?」
「ありがとう…」
「こら、泣くな!化粧が出来ないでしょ?」
「う、うん。でも、恭子凄いね?ヘアーメイクも何でも出来るんだね?」
「そりゃー、わたくし、SAKURA HOTELの優秀なバトラですから?」
私達は顔を見合わせて笑った。
恭子が友達で良かった…
「よし!出来た!
さぁ、シンデレラ、今宵は12時の鐘は鳴らないから、王子様と思う存分楽しんで来て?」
私は誠一郎の腕を取り、一度恭子へ振り返る。
「ありがとう、魔女の、お・ば・あ・さん!」
「誰がおばあさんだ!!
猪瀬さん、宣美を宜しくお願いします。」
恭子は綺麗なお辞儀をして私達を送り出してくれた。
「恭子さんって良い人だな?」
「うん。」
会場の扉の前に立つと、緊張で手が震えていた。
私の手に誠一郎は手を重ね、「心配ない俺が守る。さぁ行こうか?」と優しく微笑んでくれた。
もぅなにも心配ない。
誠一郎のこの手を離さず、彼について行こう。
何があってもお腹の子と三人で歩んでいこう。