教育係の私が後輩から…

扉が開くと同時に、私達はスポットライトを浴びる。
そして多くのお客様から拍手を頂く。

勿論、部長を始め、ホストの社員達は私の姿を見て驚きを隠せずにいる。

「宣美、おめでとう!」
「宣美さん、おめでとう!」

最初に声を掛けてくれたのは有馬社長夫妻だった。

「有馬社長…奥様、有難う御座います。」

有馬社長はその後、ステージに上がると、改めてお祝いの言葉を掛けてくれて、有馬社長と、私との関係を公にした。

その他のゲストも、お祝いのメッセージに、私との関係を話し、鉄壁淫乱女と、呼ばれてる、私の本当の姿を話してくれた。

「佐伯さんおめでとう。君の人望の多さには驚いたよ? これからも宜しく頼むよ?」

「はい。矢田社長、今後とも宜しくお願いします。」

会場には八角興行の社長と、モデルの井手冬馬までいた。

冬馬は、私達に駆け寄り、
「宣美さん!結婚しちゃ嫌だ!」と、抱き付いてきた。

誠一郎はすぐさま、冬馬を私から引き離し、「お子様はケーキとジュースでも召し上がってて下さい? 糞ガキ、二度と宣美に触るな!」と、睨みつけた。

「誠一郎! 顔!顔! 彼もゲストよ?」

「ゲストだろうと関係あるか!?」

もう…

来賓の方々のお祝いの言葉を頂いた後、私達はステージ中央へ上がった。

「誠一郎、ヒロさんおめでとう。」

「キクさん…」

私は、キクさんに抱きつき、
「ありがとう…これからはおばあちゃんって呼ぶね?」と言うと、キクさんはギョッとしつつも、
「仕方ないか?」と笑った。

「これから、大変だろうけど会社の事、頼んだわよ?」

「はい。二人で守ります。」

キクさんに続いて専務夫妻からも、お祝いの言葉を頂いた。

「あっ、以前の君の質問の答えだが、家柄や格式の釣り合いなど、関係無いとわたしは思うよ?

私の父は、食品会社に勤めるサラリーマンでね? 今だに平社員だから、家柄も、格式がどうとか、そう言ったものは何も無い。でも、私と妻は、今も、愛し合ってるよ? ねぇ?」

専務は、奥様に同意を求め、奥様は、「はい。」と答えた。

「でも、あの時、難しいと…。」

「あれだけ、悩んでる君の気持ちを、変えるのは難しいと思ってね? キスくらいで、わたしになびかないだろうし、話を聞く様に思えなかったから?」

は?

「主人が、宣美さんにキスしたそうで、ごめんなさいね? セクハラで訴えるのだけは許してあげて下さい。」と、専務の奥様に頭を下げられてしまった。

「宣美!? 叔父さん!? キスしたとはどう言う事です!!
宣美! 後でしっかり聞かせてもらうからな!?」

「………」

怖っ…
今夜、私は寝かせてもらえるのだろか…




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