教育係の私が後輩から…
え!?
奥様は知ってるのか?
社長と佐伯の関係を?
知っていて、佐伯を招き入れてるのか?
「あなた、お食事は…」
「そんなもの適当に食べるから、早く行きなさい。
宣美、私達も寝室へ行こうか?」
えっ俺達が居るのに、佐伯との関係隠さなくて良いのか!?
「社長、その前に少しお話聞いてくれますか?」
ん?
どうした佐伯?
自分の愚かさに気がついたか?
社長との関係を、終わらせたいと言うか?
「……冬馬の事なら、話は終わってる。」
「社長、私に少しだけ、お時間下さい。」
有馬社長はため息をつくと、「聞くだけ聞こう?」と言って佐伯の話を聞いていた。
佐伯の話はY社との契約についてだった。
有馬社長は佐伯の話が終ると、書類をテーブルに置き、ため息をついた。
俺達は佐伯が用意した資料は見てないし、詳しい話しもしてもらえない。だから、どうなってるか、俺には全く分からない。
詳しい内容は資料に記している様だ。
ただ佐伯が、Y社の社長と直接話をしたという事だけは分かった。
「この条件で、Y社は納得したのかね?」
「はい。元々は、矢田社長の娘さんである、専務が、冬馬のファンだと言うことの、私情を挟んだ話だったそうで、今回限りとの話で、納得していただきました。
有馬社長にも、ご迷惑をお掛けしたと、矢田社長も謝っておられました。」
矢田社長が、謝っていた?
佐伯は矢田社長とどんな話をしたんだ?
いくら俺が、アポ取っても会ってくれなかったのに…
佐伯はあっさり矢田社長に会って来た?
「………」
有馬社長は暫く黙って考えていた。
「今回だけ、お願い出来ないでしょうか?
既にあちらは発表もしておりますので…」
佐伯は深々と頭を下げた。
佐伯が、俺の為に、頭を下げた…?
なぜ?…
「分かった。
宣美にそこまで頼まれては、断れんな?
よし! 宣美の返り咲き祝いだ! 承諾しよう!」
「ありがとうございます。」
佐伯は、俺に書類を渡し、社へ戻って契約手続きの準備をするように言い、そして社へ戻る次いでに、奥様を送る様に頼んできた。
その後、佐伯は社長に伴、寝室と思われる隣の部屋へと入っていった。