教育係の私が後輩から…
佐伯に助けられて以来、佐伯を知れば知るほど、好きになって行く。
だが、猪瀬さんも、本気で佐伯に惚れてると言う。
猪瀬さんの気持ちを知ったところで、俺だって諦めたく無い!
あんな良い女と結婚したら、絶対、幸せになれると思う。
だが、相手は猪瀬さんだ…
行く行く、うちの会社の社長になる人だ。
俺とは、レベルが違いすぎる…
どうにか、もっと自分をアピールしたい。と、思っていた時、チャンスが、来た。
最近の佐伯は、疲れてるのか、今日も、朝から顔色が悪い。帰りに飯でも誘うか?
今日は、社長の御供で、猪瀬さんも居ないから、二人っきりでいける。
チャンス!!
「最近元気ないな?」
「そんな事ないけど、夏バテかな…?」
「じゃ、今晩あたり、焼肉でも行くか?」
「焼肉か? 良いね!」
ヨッシャー!
佐伯と始めて二人っきりだ!
食事の後、バーで飲んで、良い雰囲気に持って行けば…俺の事…。
ん? 焼肉の後に、バーは無いか?
服に臭い付いてるしなぁ?
まぁ、その時の流れで、考えればいいか?
あれ? あいつ…
「佐伯? お前さっきより、顔色悪くないか? また、昼飯食って無いんだろ? ちょっとは、食って、休憩しろよ?」
「うん。ありがとう。でも大丈夫。
あっ焼肉の話、やっぱり今日はやめとくわ? また、今度誘って?」
いやいや、それは無いだろ?
折角、今日は猪瀬さん居なくてチャンスなのに…
それに、なんで俺の顔見ないだよ?
「何言ってんだよ!? 折角、今日は邪魔者居なくて、二人っきりで行けるんだからな!?
ぜってぇー行くぞ!?」
えっ!?
隠している様だが、顔が腫れてる。
「おまえ!? その顔どうした!?」
「ちょっと転んだだけだから、心配しなくて良い。」
「ちょっと転んだって…
医務室行ったのかよ??」
「大丈夫だって!
見た目より酷くないから。」
大丈夫って…
どう見ても大丈夫じゃないだろ!?
「馬鹿! すぐ行けよ!」
今すぐ行け!と、俺は佐伯の腕を掴み立たせようとした。
「痛っ…」
ん? そんなに強く掴んで無いけど?
「お前、足も怪我してるのか!?」
「転んだ時にちょっと挫いただけだよ?
たいしたことない。」
「馬鹿野郎! 捻挫を甘く見るな!!」
こんな状態の佐伯をほっとけない!
俺は佐伯を抱き上げた。
すると、途端に部署内は騒ついた。
「七本さん、そんな女なんか、
抱えてるとこ彼女に見つかったら、ショック受けますよ!?」
はぁ? こんな女??
佐伯の本当の姿を知らないから、仕方ないかも知れないけど、こんなに酷い怪我をしてる同僚を、ほっとけって言うのか!?
お前らこそ、人間として、どうかと俺は思うぞ!
で、彼女ってなんだ?
あー受付の日比野さんの事か?
誰が言い出したから知らないけど、付き合ってねぇーし!
俺が好きなのは…
「勝手に噂してるみたいだけど、俺、誰とも付き合ってないから! いい加減な噂流さないでくれるかな? マジ迷惑だから! 俺の好きな相手は、この佐伯だから!」
言ってやったぜ!
佐伯、聞いてたか?
俺はドヤ顔で佐伯を見た。
「こんな公の場で、勝手に告白してんじゃないわよ!?」
佐伯は恥ずかしかったのか、俺の頬をつねった。
「いひゃいって!」
痛いけど、嬉しい。
佐伯、俺は本気だからな?
「おい!誰か扉開けろ!」