教育係の私が後輩から…
『女のくせにあそこまでやられると、俺達の立場が無いよな?』
『女なんだからさ、俺達のサブで良いんだよ? ホント可愛げない女だよな?』
同部署の男性社員からの陰口が聞こえて来る。
あんた達の立場ってなに?
キャバ接待しか取り柄ないくせに!
可愛げなくて悪かったな!?
あんた達に可愛いなんて思われなくてもいい!
仕事に女も男も無いだろ!?
時代錯誤もいい加減にしろ!
『あんなに頑張らなくて良いのにね?』
『普通あそこ迄やらないでしょう?』
『ねぇー普通しないよね?』
『ホント、ああいう人がいると困るのよね?
会社も私達女性にそこ迄求めてないんだからさ?』
『そうそう。
女なんだから無理しなくていいのよ!』
女性社員からも自分達を卑下する様な言葉が聞こえて来る。
その "女なんだから" って言葉、良いように使わないでくれる?
あんた達みたいなおバカが居るから、男が女を見下すのよ!?
ホント "この上司にしてこの部下あり!" だわ!
あー神様 "私に良い上司を!" "賢い同僚を!" 与え給え!
顔をしかめて拳を握りしめる私に課長はいつもの捨て台詞を吐いた。
「佐伯さん、会社の方針に逆らうと、どうなるか分かるよね?」
ほら出た?
馬鹿な上司の殺し文句!
でも、今回ばかりは私もひかない!
有馬社長から頂いたチャンスは、絶対私が成功させる!
「なにを仰ってるのか、私には分かりません!」
「どうせ結婚までの腰掛けなんだからさ?
さっさと寿退社して、子供産んだらどうだね?
君みたいな女がいるから少子化が進むんだよ?
まぁ取引先と寝てまで、契約取って来る様な恥知らずな女と、結婚しようと思う男は居ないだろうけどね!?
淫乱女が!」
「…ッペンイッテミロ!」
「なんだ!?」
「もっぺん言ってみろって言ってんだよ!?」
頭に血が上ってしまった私は、気づけば課長の胸ぐらを掴んでいた。
「なっなんだ私を殴るのかね!?
上司に向かってこんな事して良いと思ってるのか!?
私を怒らせたらどうなるか?」
「どうなるかなんか知らねぇーよ!!」
『バッシン!』
『キャー』