教育係の私が後輩から…
「七本、仕事は!?
あんたには契約の準備が有るでしょうよ!?」
「明日、休日出勤して作るよ?
それより、悪かった。
あんな酷い噂信じて…
ホント酷い同期だったと思う。
まさか佐伯が仕事の為にそこまでやってるとは…
俺、自分が情けなくて…」
「僕の罪に比べたら、
七本さんの罪なんて軽いですよ?
先輩、あの夜の事は…」
誠一郎は床へ座り私へ土下座した。
「許してくれとは言いません!
祖母いや、社長に訴えて頂いても、
告訴して頂いても構いません!
ただ、七本さんに、
あなたの仕事の仕方を教えてあげて下さい。」
「え? 猪瀬さんあの夜ってなんですか?
社長に訴えるとか、告訴とかって?
佐伯と何が合ったんですか?」
誠一郎は馬鹿か!?
こんなところで、あの日の事、暴露してどうすんのよ!?
「二人とも、もういいから頭あげて?
それから、猪瀬君?
あの事は、私、もう忘れることにしたから…
貴方も、もう忘れて良い…」
「でも…」
「私に謝罪の気持ちがあるなら、
これから会社のトップとして
相応しい人間になって?」
昨日、七本に謝罪について行くと言った時、そして今日、七本に寄添い、土下座する姿を見た時、彼の意識の変化に、既に彼の罪を私は許していた。
「あー気が抜けたら、お腹すいちゃった!
社長、お腹空きましたよね?
猪瀬君の料理、結構行けるんですよ?」
「そうかね? そりゃー楽しみだ。」
その後、私達は誠一郎の作った料理を堪能した。
そして翌日、奥様の帰りを待って、私達は七本の車で帰ってきた。
「佐伯、明日の夜、三人で飲まないか?
二人にはお世話になったから、俺が奢るよ?
猪瀬さんどうですか?」
「僕は構いませんよ?」
「折角のお誘いだけど、日曜日実家で法事なの。
朝早いから、明日は早く寝たい。
今回はパスするわ!」
「そうか…? じゃ、また今度な?」
「うん。送ってくれて有り難う。」