教育係の私が後輩から…
誰が守る!?

月曜日。
出勤前にいつものカフェに寄ると、七本がいた。

「佐伯! ここ、ここ!」

子供の様に、両手を大きく振って、大きな声で七本が私を呼んでる。
その隣には誠一郎までもいた。

大きな声で呼ばないでよ!
恥ずかしい!

店内で注目を浴びる中、私が行かなければ、この騒ぎは収まらない気がした。
仕方なく、私は彼等の座るテーブルへと向かい、座った。

「なんで二人がここに居るのかしら?」

「前に、先輩が、
朝は、このカフェに寄るって言ってたから?」
と、答える誠一郎に、思わずため息をついた。

「俺は、何時もより早めに出勤したら、
猪瀬さんの姿を見つけて?」
七本は七本で仕事に意欲を出した末の行動らしい。

だったら、さっさと会社行け!

「あっ昨日Y社との契約書類、作り直したから、
佐伯、一度確認してくれるか?」

「分かった」

「それから、今までの事、
本当に申し訳なかった。」

「もういいよ? 
昨日もさんざん謝って貰ったから?」

「それで皆んなにも、
佐伯と有馬社長の事、話そうと思うんだ? 
そしたら、誤解も解けるし?
皆んなの態度だって変わると思うんだ?」

「余計な事、しないで!!
そんな事、私望んでないし、頼まない!
もし、誰かに少しでも話したら、
ただじゃおかないから、
全力であんたを潰すよ!?」

「えっ!? でも…」

「煩い!」

まだ、運ばれて来てもないコーヒー代をテーブルに置き、席をたった。

「佐伯?」

私は七本の呼び止めに応じず、そのまま店を出て会社へと向かった。




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