教育係の私が後輩から…

「猪瀬さんのお爺さんってマジ凄い人じゃないですか!?」

「私が契約トップでいられたのは、ここの情報と私の+αがあっての事。」

「+αってなんだよ!?」と聞く七本に呆れてため息が出る。

「そこまで私はお人好しじゃ無い!
それに私と同じやり方じゃなくても、
良いんじゃないかな?
七本は七本のやり方でやれば良い。
正しいやり方なんて無いと思うよ?
ただ、個人情報だから、
扱いには呉々も
気をつけないといけないけど?」

「すっげぇー!マジすっげぇー!
これで、俺もどんどん契約取ってやる!」

「でも、ここを必要と思わない人がいる。」

「専務ですね?」
誠一郎の言葉に七本は驚いていた。

「そう。専務はここを取り壊して売却する話を進めてるらしい。」

「ちょっと待て!
じゃ、この宝はどうなるんだよ!?」

「廃棄でしょうね?」

「嘘だろう…」

「古いやり方を好まない人の考えそうな事です。」

「じゃ、廃棄される前に、移動させれば?」

「今の本社ビルにそんな場所はないし、専務がそれは許さないでしょうね?」

「じゃ、専務を俺達で説得しようぜ!?
今回の佐伯のお陰で、
失いかけたクライアントは失わなかったし、
新たなクライアントを手に入れる事が
出来たんだから?」

「あの人は平社員の話など聞きませんよ?
聞いたとしても、
それで自分の考えを変える人ではないです。」

けっこう、冷静に見てるんだ?





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