教育係の私が後輩から…

「じゃ、どうする?
何処か別の場所に移すか?
貸し倉庫の当てなら俺あるぞ?」

「社外に持ち出しなんかしたら、
極秘情報を持ち出したと訴えられかねない。」

「クビになるところを、佐伯に助けられたんだ、
俺はどうなっても良いけど…
猪瀬さんは、まずいですよね?
それに、あなたにはここを守ってほしい。
前社長の想いも含めて…
でも、どうしたら良い?」

「これだけの量を移動されるのは大変だけど、
猪瀬君が、会社を守る気があるなら
私に考えがある。どうする?」

「猪瀬さん!
専務なんかに会社渡さないでください!」

「佐伯先輩が協力してくれるなら、
僕は守りたいです!」

「じゃ、話は決まったわね?」

「で、佐伯、どうするんだよ!?」

「大きなものは隠せなくても、
手の中に入るくらいの小さい物なら
隠せるでしょ?
この小さなUSBなら、
誰にも知らず隠し通せるんじゃない?」

私は口紅の形をしたUSBを見せた。

「すっげぇー!
そんなUSBが有るんだな?
佐伯、お前頭いいな?
スパイ映画見てるみたいだ。
俺、マジ、おまえに惚れた!」

「僕が先に好きになったんですから、
七本さんは諦めて下さいよ?」

「冗談じゃない!
俺と佐伯の付き合いは長いんですよ!
猪瀬さんこそ飽きられめ下さいよ!」

「同期でも、今迄、
先輩の事見下してたじゃ無いですか!?
ありもしない噂信じて!?」

「そ…それは…仕方ないだろ?
こっちには、こっちの事情ってもんが
あったんだから!
じゃ、ここからは、互いの立場は関係なく、
正々堂々と戦おうぜ?」

「望むところです!」

「お二人さん?
なにやら興奮してる様ですが、
やるべき事やってから雑談して下さい。」

先ずは掃除からお願いしますと、私は二人にバケツと雑巾を渡した。





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