教育係の私が後輩から…

「で、今日はなんの用ですか?」

ビールと一緒に運ばれた、ぬか漬けを口に入れ、いつもと変わらぬ美味しさに頬を緩ませ、そしてビールを飲む。

クー美味しい! 幸せー…

1日の締めを、美味しいぬか漬けとお酒。これが私の幸せ。こんな小さな幸せだが、これが有るから、掃き溜めのような資料課でも、私は頑張れるのだ。

「誠一郎が帰ってくるの…」

「へー 御自慢の? 良かったですね?」

誠一郎とは、キクさんの孫。
キクさんの長女の婿、副社長の息子である。

「……」

「嬉しくないんですか?
自慢のお孫さんですよね?」

「そう!自慢の孫よ?
そして私の後継者…」

「じゃ、もっと喜べば良いじゃないですか?」

「それが喜んでばかりは居られないのよ…」




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